特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)

良いおっぱい 悪いおっぱい (集英社文庫)

良いおっぱい 悪いおっぱい (集英社文庫)

妊娠出産どちらも未経験なのに、この本に魅せられた高校生の自分キモス。
しかし、プチブームになったママンガ(経産婦=ママの書く漫画)、今風育児本のさきがけとなったこの本には、太宰な季節を生きる小娘に「そーか、私はうんこだったのか。」と産む側からの真理をそうとはなしに諭してくれた。
お腹が重いので蟹股になって、腹がせりだすのでどうしてもふんぞりかえってしまう、腹に栄養をとられるので人相まで悪くなってしまう、態度も傲慢になってしまう、でもそれが妊婦なのだ「それで悪いか」とか書いてある。
妊婦ってなんか薄汚いと思っていた私。「私も自分が妊娠するまでは思っていた」と書いてある。
私はなぜかそのあたりに大変な好感を持ってしまい、出される続編、著者の旦那の書いた番外編まで読み漁ったが、この育児本には(大きなお世話ですが)“離婚”というオチがついていて、一度は氷解したかに思われた私の疑問がさらに凝結。
“うんこ、おしっこ、おっぱい”と夫婦で(一見)あけすけに語りまくったあと、離婚した理由とかそこへいたった経緯とかは一切明かされることはなく(明かす義務もないが)、髪をふりみだして娘の育児に奮闘したお父さんは、この育児本から忽然と姿を消すのが怖い。
渡る世間のキャストから、ピン子が説明もなく消えるかんじ。
いなくなっても困らないどころか、最初からいなかったぐらいの勢いでいなくなる。

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

ある日、私はエロ漫画家とであった。少年誌にちょっとラブコメを書いている程度のエロじゃなくて、夜中にこっそり自販機で買ったりする本に、曼荼羅のような卑猥な描写を書き連ねるエロ漫画家なのだ。
画家になろうと思って、油絵の勉強をしているうちに、それじゃ食えないからとバイトで漫画を描いているうちにプロになってしまったとかいう男だ。
この男に、16歳になるまでに筒井の本を読まないといっぱしの人間になれないと言われ、その予言があまりに恐ろしかったために私は筒井を読んだのだった。

陰獣 (江戸川乱歩文庫)

陰獣 (江戸川乱歩文庫)

緑衣の鬼だったか陰獣だったか。
立て続けに読んだので、どれがどの話だか混同している。
私が言いたいのは、便器の中に男の頭がはいっていたので、それを死体と勘違いするけれどもそれはただのズラだった、というトリック。
斬新にも程があるよ。
凄く良く出来た腕の彫刻を買ってみたらば中に本物の男の腕がはいっていたりとか、座った椅子がモゾモゾするのでよくみたら“椅子の中の人”がいたりとか。
乱歩の本は今もどこでも入手が可能だが、講談社版の乱歩全集でなくてはいけなくて、なぜなら挿絵が古沢岩美画伯だったり横尾忠則画伯だったりする。

白波五人帖 (集英社文庫)

白波五人帖 (集英社文庫)

これを読んでから青砥稿花紅彩画を見ると、五人男全員に感情移入するようになる。どの道悲しい運命なので盗人になった、という話がしみじみ身に染みるようになる。
切ない、悲しいと思う、が、それが気持ちよいという真骨頂。(M疑惑)
しかし、立て続けに赤星が亡くなったので気持ちよがっている場合ではなくなった。私は一体どうしたら。
古本屋でみつけた演劇界の増刊で、松緑(二代目)が、21世紀には歌舞伎はなくなります。と予言しているのを見たときにはバカな、と思ったがどうやら本当っぽい。
いやまじで。

ベスト・オブ・ドッキリチャンネル (ちくま文庫)

ベスト・オブ・ドッキリチャンネル (ちくま文庫)

汚部屋でテレビ。