вкусно

ピンク



伊豆に住む親戚の家に遊びにいくと、魚介類萌え、な私の食欲は大変なことになる。
刺身!あわび!伊勢海老!
でもこれらは、お金を出せばどこの土地でも大抵食べられるものであって、本当にウハウハなのはご当地ローカルな地味な味。
たとえば「バカ貝」。
みんながバカ、と呼んでいるので私もそう呼んでいる。正式名称があるのか、まさかバカが本名なのか知らない。
このバカを、地元の人は潮干狩りしてきて晩御飯に食べる。みそ汁の具にしたり、甘辛く煮付けたり、塩茹でにしたり。
あ〜バカ食べたいよね、とたまに思う。(共食い)
今日、魚屋さんの店頭で、やけに貝が豊富に置いてあって、ディスプレイの妙なんだろうがどれも新鮮でおいしそうで、しかも、その中にバカ貝らしき貝を発見。
これはバカ?とたずねると、これはバカじゃないよ、似てるけど違う(魚屋のお姉さんにもバカが通じた)、こっちは苦いところがなくておいしい、身も大きいし甘い、と勧誘される。
マンマと買ってきた。
洗ってゴミを落としたあと、ジャスト10分塩茹でにせよ、というのがお姉さんのお勧め。
水に塩と貝をいれて、10分火にかけたらいきなり食せ、と。
やってみた。
ちなみに、この貝の形はなんというんでしょう、非常にオーソドックスに巻きのはいったタイプ。「巻貝」といわれて想像するとおりの形をしちょります。
そんでもって、これを楊枝で刺して、ちゅる、っとひねりつつひっぱると、肝のところまでするっとでてきてウマーとなる。
人によって食べ方も違っていて、ある人はいきなり貝の部分にかじりつき、ひびをいれてかち割ったりもする。
この貝は、食べてもおいしいんだけれども、食べている人々の光景、というのもなかなか乙なもんで、下手な人がやると綺麗に身を取り出せないもんだからこれをみて皆でせせら笑い、良い食べ方を発見するとお節介にも教えあったりして脇アイアイ(竜平さんのポーズで)。
久しぶりにこれをやってみたらば、うまくいったりいかなかったり。
上手にできると、「腕はまだ落ちていない」と誇らしく、うまくいかないと「ふっ、私も都会に染まったもんだよ」と思う。(注:都会も田舎も関係ない)
一個大々的に失敗して、先っちょだけしか取り出せない身があって、悔しかったので何度も楊枝をつっこんだのだが、余計に身が奥に雲隠れしてしまい、腹立たしく思った私は、キッチン鋏の柄の部分で貝を叩き割って具をだした。まるでラッコ!知恵のある猿!道具を使ったよ!
そう、このように、欲望にまかせて食らう貝、というのもまたこのバカ(本日のはモドキ)の醍醐味なのだ。
子供のときに読んだ「漫画日本の歴史シリーズ」の縄文時代に、今日の私とほぼ同じことをしている人がでてきます。貝を食べて喜ぶ子供。
そう、かように、バカ貝というのは、原始の記憶と現在の自分が貝の渦の中であいまみえ、自分の体にギャートルズの血を確認する、というまことにバカバカしくバカの好む食物なのだ。
貪りつつ、野生にかえってリフレッシュ。年賀状はめんどくさいのであきらめました。どてちん。


注:名前を調べようとバカを検索したらば「アオヤギ」のこと、となっとりました。あー、ちゃう、バカはアオヤギとはちゃうんですー
通称バカ、ということで。