Не трогайте.

散歩でもするか


草花植物が、綺麗な色をしていたり、良い香りを放ったりするのは、自分の繁殖を手伝わせるための誘惑なのだ。
花粉を運ぶために蜜に呼ばれる蜂。惑う蝶。
その誘惑される対象、植物が「よしゃ、コイツおとしたれ!」と上目遣いで瞳をウルウルさせてプンプン☆とかいってくると、「あれれ、この娘、僕のこと好きなのかな☆」とかまんまと勘違いして貢いでしまったりするカモ、そこには人間も含まれているのではないか、という説を唱える研究者がいるそうだ。
ブンブンいいながらいつも忙しそうで、女王蜂に利用され、花に利用されて屍になる働き蜂。ひたむきな姿に、物悲しささえ覚えるのは、蜂の生態に自分の性分を重ねてみているからなのだ。
花が綺麗なのは昆虫や鳥をおびき寄せるためです、なんだそうなのか!とか納得しつつ、実は私もカモの一人。

冬になると庭仕事はめっきり地味になり、やっと暑さから開放されてブラボーとかいいながらも、「春になったらどの苗を植えるべか?」とか脳内会議を繰り広げ、実際春がやってくると日差しにおののき、紫外線に怯え、雑草に右往左往して、「これだから春は」とか毎年言ってやんの。バーカ!バーカ!
それでもって、今日も雑草に除草剤をぶちまけてやろうと颯爽と庭に降り立つも、あーでもこぼれ種で咲いている娘たちを隔離するのは無理だから・・とかいいながら、親の仇のように手作業で草むしり。まんまとカモられている。
自分の手の臭いをかいだら、牛糞の臭いがしたとです。
辺鄙の畦道で貴婦人の庭を夢見る自分。
チューリップの姿に目を細め。
移植したヤマブキが根付いて花をつけていることに満足し。
バラの幹を軍手でこすって貝殻虫を撤去してやり。
ワイヤープランツを剪定してますます美人に。
ビオラの花柄を積んで「アイラブユー」とささやき。
オリーブの根元に跪いて「ジュテーム」と頬スリスリ。
アイビーの鉢に米ぬか汁を投下して「茂れ」とお祈り。
ヒヤシンス師匠に「お疲れでーす」と挨拶。
エニシダ先輩の花芽に「あざーす」と感謝。
変態奴隷遊戯。

蜂が蜜を運びまくったあとばったり死ぬみたいに、庭を耕しまくったあとで忽然と事切れて死ぬのもそれはそれ。というか、私はそのために生きているのかも、とまで思ってしまった本日。
木の芽時は本当に痛い人が多いので気をつけて。