焚き火の人

冷たい雨

庭のレンガを動かしたら、小さいドラゴンが冬眠していた。
なんだかごちゃごちゃした形状なので、何者なのか知るために、棒でつついてみたが爆睡していて起きる気配がない。
それをいいことに棒で巻いたとぐろをほどいてみると、ドラゴンの正体は6匹のトカゲだった。
こんなに群れているトカゲを見るのは初めて。
俺のお腹の下からお前の頭が出て、その足のしたからあいつの足がでて、その上にそいつの腹が乗っていて・・・というパズルみたいな形状で眠りまくっている。
こんがらがった形状が怖かったので、“よくみると胴体は一つしかなく”といったことがないか調べるために棒でほぐして一列に並べなおしてみた。
なすがままになるトカゲが新鮮。
夏のトカゲは苔むした岩のような色だが、冬のトカゲは褪せた10円玉の色。それは焼きたてのレンガのような色だったので、レンガの下を冬眠場所に選んだのもカモフラージュの一環なのかもしれない。6匹で相談して決めたのか、いつのまにか同居することになったのかわからないが、敷石の下は危険だと思う。
かといってどこに移動したらよいのかわからなかったので元に戻してしまった。
一応親切のつもりだったが、一列に並べると途端に食料っぽい雰囲気になったので上からまたレンガを乗せた。
さーて、このレンガが誰かに踏まれないかどうかは運次第なのだよ。
こんな風に、私の運命も誰かの気まぐれに振り回されているのかと思うと恐ろしい。
私はドラゴンの神なのだよ。そして虫けらなのだよ。フフフ....などと思いながら竹箒で芝生のブラッシングに励んでいたら自分が蜘蛛の巣に囚われてさっそくうろたえる。
薔薇の芽が動き出した(強剪定に成功していた!)ため、ちょっと調子に乗っているのだった。
枯れ枝を集めて焼き芋の週末。