エントロピーの法則再び

もう蚊がいるぜ

裁縫部屋が汚い。
私は壁に向かって机を置き、そこで何かをするのがあまり好きではないのだ。
お針子しているときには、だいたい手元を見ているので正面が壁でも問題ないだろうに、それでもやっぱり窓の正面にいたい。いないと気がすまない。
切妻屋根 の下にいるので、窓も正面というよりも半頭上にある。
だからあんまり外から自分が見えているとも思えないけども、もし見えているとしたらソーリー。鬼の形相でギャザー寄せたりしていてソーリー。
閉所恐怖症ゆえ、凍え死ぬような極寒の日にも窓は開ける。
座っている分にはチラっと垣間見えるぐらい、でも長い布と格闘しているときなど、テンションがあがると立ち上がっていることがあるので、外から見る人がもしいたならば、横断幕をふりかざして屋根に箱乗りしているヤンキー、よくみると内職しているただのヲバさんだ。
その箱乗り姿勢を崩したくないばっかりに、部屋のレイアウトが変。
今日も、なんとか机のスペースを拡張するために、棚をズルズルひきずって押し、机の脇においていた引き出しを押し込んだらますます変なレイアウトになった。
棚においてあるものもことごとく細かいゴチャゴチャグッズだし、ブラック商会変奇郎的雰囲気がさらに倍増。
一番手を焼いているのがリーメントで、片付けの第一目的が「なくさないこと」になりがち。むやみに掃除機をかけるとうっかり落ちているものを吸い込んだりしてマズいので、学校の掃除ロッカーにあったT字のモップを買ってきてそれで掃除している。
物置になっている屋根裏に、少しずつ拡張していった裁縫部屋。
ミシンとか作りかけのものとか広げたまま置いておけるのでとても便利だが、「なんかもっとやりようがあるんじゃないか!」とずっと思っている。
裁縫しながら、いつも頭の片隅で近藤典子が笑っている。
「その隙間使えるんだよ!」といいながら近藤典子が物凄く笑っている。
そんなに笑わなくていいのにと思うぐらい笑っている。
スノコか?カラーボックスか?結束バンドか?
そして考えはじめるといつも脱線して、結局部屋がごちゃついたまま汚い。