ニューボトル

赤毛

エビへの興味はつきない。
至近距離で落ち着いて観察するため、ボトルを立ち上げエビを招待した。
卵胞子含む。
これで産卵に関する決定的な何かをつかむぜ!
今朝、金魚に餌をやりつつエビボトルをガン見していたら、険しい顔つきで息んでいる子がいる。
お腹チェック。卵はない、ように見えるけど、産まれる直前の卵はやや白濁しつつも透明なので確信がもてない。
産んでいるところなのか、産んだところなのか、それとも別の何かなのか。
エビが手を床について、尻尾までぴっちり力をいれているのがわかる。
体が緊張してとてもシャチホコっている!
観察を開始してしばらくすると、顔から頭にかけて、頭から背中にかけての部分が気になるのかしきりと手で「サワサワ」している。

*今日発覚した事実
・エビは自分の顔、頭、背中を自分の手で触ることができる。
・力がはいるとシャチホコ

他のエビは落ち着きなくしきりと動き回り、動いていない子は、手元に食料らしきものを抱えてホクホク食事中である。
せめて、卵がどんな形状で産み落とされるのか知りたい。
カエルみたいに、長く連なったままなのか、それともメダカのようなかんじなのか。
産み落とすときはどんな姿勢なのか、産みがちな場所(たとえば水草とか、水槽の角とか)はあるのか、上のほうなのか、下のほうなのか。
そもそも、エビはどこから卵を産むのであろう。
ここまできたら色々知りたいということで、シャチホ子を観察し続けるとそのうちお尻をフリフリしはじめたので、いざ、いざそのときがきたか!と私もシャチホコる。
エビは自分の顔の一番とんがった先端部分(おそらく人間で言うところの鼻のあたり)をしきりにサワサワしたあと、う〜〜〜んと伸び上がって、猫の伸びのように体を柔軟させたあと、手で自分の頭をつかんで引っ張るのだ。
顔が縦に伸びて人相(エビ相?)がかわる。
すっごく面長で葱坊主みたいな顔をしたあと、「スポ」っと頭の部分を脱ぐと、次はセクシー女優のように、華麗に首から下をスルっと脱ぎ捨てる。シルクのシミーズを脱ぐようにサラっと。
OH!!脱皮ですか!
脱ぐや否や、何事もなかったかのようにさっさとどこかへ泳ぎ去っていった。
自分が脱ぎ捨てた過去を振り返りもしない。
「かつての自分」に何の執着も未練もない。
朝からエエもんを見た。
こんな風に、昔の自分を捨てられたらいいのにな。
「変わりたい」とおもったとき、私は何かを増やしがち。むしろ着込む方向にある気がする。
こんな風に、全身さっぱり捨ててリニューアルできたらステキやん。
それにしても、エビの脱皮って私が安いタートルセーターを脱ぐときとそっくり。
高いタートルを脱ぐときは、「汚れないように、伸びないように、毛玉できないように、痛まないように」と色々気遣って、セーターを維持したまま自分の体のほうを最大限犠牲にしていたわりつつ脱ぐわけだが、安いタートルはどうでもいいので、下からサクっとまくりあげてビロ〜〜ンと伸ばし、葱坊主顔で静電気パチパチしながら脱ぐであります。
まさかエビもそうだったなんて。
脱ぎ捨てられた古いエビは、まもなく別のエビがホクホク抱え込んで朝食にしていた。
これもこれで凄い。友達の抜け殻を朝ごはんにするなんて。
エビからは学ぶことが多いとつくづく思うのだった。